こんにちは。今回は円錐角膜という目の病気についてです。
円錐角膜の治療法の選択や実際の症例などについては、クリニックのHPに分かりやすい図とともに詳しく説明がされています。(こちらからどうぞ)
円錐角膜は早期発見が治療の鍵となります。
コラムでは当院でどのように円錐角膜を早期発見し、治療しているかをお話ししようと思います。
円錐角膜とは?
円錐角膜は、図①のように角膜の中央〜下部が薄くなり前へ突出する病気です。
これにより近視や乱視が強くなりますが、通常の乱視とは異なり、不正乱視とよばれる眼鏡やソフトコンタクトレンズでは矯正できない乱視が進行します。
図① 左:正常な角膜 右:円錐角膜
どのように発見されるの?
初期の円錐角膜では、通常の眼科の一般的な検査で発見されることはほぼありません。
中等度〜重度に進行し、乱視の度数が年々増えたり、眼鏡・コンタクトレンズでの矯正視力が低下したりすることではじめて円錐角膜が疑われる、といったことがほとんどです。
円錐角膜なのか心配・・・
円錐角膜の早期発見には『角膜形状解析装置』という検査機器が欠かせません。
当院では屈折矯正手術を検討している方全員にこの角膜形状解析装置での検査を行ない、軽度の円錐角膜も見逃さないよう努めています。
では、実際にどんな画像が撮影されるのでしょうか。
今回は当院で採用している角膜形状解析装置の中の1つ、CASIAⅡという機器で撮影した画像を用いて詳しくお話し致します。
図② 通常の乱視のある角膜
図③ 円錐角膜
上の2つの図は角膜を解析したものです。暖色になるほどカーブがきつく、寒色になるほどカーブが緩くなるを表しています。
上下対称になっている図②に比べ、図③の円錐角膜の画像は上下非対称で中央下部が突出していることが分かります。
円錐角膜の治療・矯正方法
これまでの円錐角膜の治療は、ハードコンタクトレンズで視力矯正をし、進行したら角膜移植しか方法がありませんでした。
近年では角膜クロスリンキングや角膜内リングという新しい治療法が登場し、角膜移植を回避できる症例が徐々に増えています。
視力の矯正方法も有水晶体眼内レンズが進化したことで幅広い乱視度数に対応しています。
これにより、円錐角膜で悩んでいる方に様々な選択肢をご提案することができるようになりました。
円錐角膜の矯正方法や治療方法を簡単にご紹介致します。
①〜③は円錐角膜の矯正方法、④〜⑥は円錐角膜の治療方法です。
※円錐角膜の程度の目安や治療の適応についてはHP内に詳しい説明があります。(こちらからどうぞ)
- ① 眼鏡・ソフトコンタクトレンズ
円錐角膜の程度が軽度であれば、不正乱視があっても眼鏡やソフトコンタクトレンズの装用で良好な視力が得られます。 - ② ハードコンタクトレンズ
不正乱視に対して最も相性のいい矯正方法がハードコンタクトレンズです。
これはハードコンタクトレンズと角膜の間に出来た涙の層がレンズの役割をすることによって、角膜の歪な乱視を矯正できるためです。
円錐角膜が進行すると普通のハードコンタクレンズで視力が出ても装用時の異物感が強く長時間の装用が難しくなります。
この違和感を少しでも改善できるように円錐角膜専用の特殊レンズが開発されていますが、やはり異物感が強く断念される方も少なくありません。 - ③ 有水晶体眼内レンズ
ICLを含む有水晶体眼内レンズは、眼の中に専用のレンズをインプラントする方法です。
非進行性の円錐角膜の方や円錐角膜疑いの方で、眼鏡やコンタクトレンズで良好な矯正視力の得られる方であれば手術の適応となります。 - ④ 角膜クロスリンキング
円錐角膜の進行を予防する治療です。
角膜にリボフラビン(ビタミンB2)を点眼し、紫外線を照射することで角膜実質のコラーゲン線維の架橋(結びつき)を強くします。 - ⑤ 角膜内リング
角膜内リングは、角膜に1~2枚のリングを挿入する方法です。
円錐状に突出した角膜の中央部を平坦化させることができるため、近視と乱視を軽減することが出来ます。 - ⑥ 角膜移植
突出の程度が高度で矯正視力も悪く、上記の治療法のどれもがあてはまらない場合に適応になります。
以前は全層角膜移植(角膜の全ての層を取り替える手術)のみが行われてきましたが、最近では深層表層角膜移植(角膜の一部の層を取り替える手術)も行われます。
全層角膜移植は手術後の視力が比較的良好ですが、深層表層角膜移植は合併症や拒絶反応が少なく、眼球の強度も全層角膜移植に勝ります。