遠近両用眼内コンタクトレンズとは?
遠近両用眼内コンタクトレンズとは、近視・遠視・乱視・老眼を矯正することが可能なレンズです。
1)遠近両用眼内コンタクトレンズとは?
眼内コンタクトレンズ(ICL)は若年者の方の近視や遠視、乱視を矯正して遠方を眼鏡やコンタクトレンズなしで見えるようにすることができますが、老眼の治療はできません。
40歳以降で老眼が始まりだした方、また50歳前後で既に老眼のある方は、ICL手術を受けると遠方は裸眼で見えるようになりますが、近方のパソコンや読書には老眼鏡が必要になります。
眼鏡やコンタクトレンズにも近視だけでなく老眼も矯正できる遠近両用の眼鏡やコンタクトレンズがあるように、眼内コンタクトレンズにも遠近両用眼内コンタクトレンズが出来て使用されるようになりました。
2)単焦点眼内コンタクトレンズ(ICL)と遠近両用眼内コンタクトレンズ
老眼が始まりだしている方、または既に老眼がある方が、ICLで若い方と同じように遠方を良く見えるようにすると近方は老眼鏡が必要になりますし、また近方を少しでも見えるようにICLの度数を弱くすると遠方はぼやけが残ってしまいます。
そこで遠近両用眼内コンタクトレンズを使用して近視と老眼の両方を矯正すると、遠方を良く見えるようにしても近方も老眼鏡なしで見えるようになるメリットがあります。
ただし遠近両用眼内コンタクトレンズは、その種類によって遠方が少し弱めであったり、夜間など暗いところでは少し見にくいなどのデメリットもあります。
遠近両用眼内コンタクトレンズの使用にあたっては、その方のライフスタイルに合わせた選択が大切です。


提供元:Alcon
代表的な多焦点レンズの特徴
【屈折型】

遠方と近方のレンズを同心円状に交互に組み合わせた構造を持つレンズ。単焦点レンズと同じ屈折面からできているため見え方の質は良好で、特に遠見は単焦点と同等の見え方の質が得られる。瞳孔径の影響を受けやすいこと、ハローやグレアが出やすいことが欠点である。
【分節屈折型】

遠方と近方のレンズを上下に組み合わせた構造を持つレンズ。屈折型のメリットであるコントラスト感度の良さを保ちつつ、瞳孔径の影響を解消できる構造。ハロー・グレアは比較的少ないが、中間距離がやや見にくい。
【アポダイズ回折型】

レンズの周辺に向かうにつれ、回折構造のギザギザした階段が除々に低くなっており、最周辺部は単焦点レンズである。近方の距離がやや遠めで、暗い所での近方の見え方が劣るものの、コントラスト低下やハロー・グレア・スターバーストが軽減されている。
【EDOF(焦点深度拡張型)】

焦点深度(ピントが合う距離)を広げることでクリアに見える範囲を拡大し、遠方から中間距離までが連続して見やすくなっている。他の構造のレンズの見える距離が「点」であるのに対して「帯」で幅広く自然な見え方が得られる。ハローグレアが少ない特徴もあるが近方視力がやや弱い。
単焦点眼内コンタクトレンズと遠近両用眼内コンタクトレンズの違い
【単焦点眼内コンタクトレンズ(ICL)のピントの合い方】


【遠近両用眼内コンタクトレンズ;焦点深度拡張型レンズのピントの合い方】


【遠近両用眼内コンタクトレンズ;アポダイズ回折型3焦点レンズのピントの合い方】


遠近両用眼内コンタクトレンズ
製造販売:STAAR Surgical社

【特徴】
- レンズ素材は20年以上実績があるICLと全く同じCollamerである。
- ICLと同じくホールがあるので房水の循環が自然である。
- 老眼矯正のメカニズムは白内障手術の多焦点眼内レンズで実績のあるEDOF(焦点深度拡張型)である。
- 度数規格は-0.50~‐18.0Dまで幅広く、軽度~強度近視まで対応可能である。
- サイズもICLと同じ12.1mm、12.6mm、13.2mm、13.7mmがある。
- ① レンズ素材は20年以上実績があるICLと全く同じCollamerである。
- ② ICLと同じくホールがあるので房水の循環が自然である。
- ③ 老眼矯正のメカニズムは白内障手術の多焦点眼内レンズで実績のあるEDOF(焦点深度拡張型)である。
- ④ 度数規格は-0.50~‐18.0Dまで幅広く、軽度~強度近視まで対応可能である。
- ⑤ サイズもICLと同じ12.1mm、12.6mm、13.2mm、13.7mmがある。

【術前後の焦点深度曲線】
Packer M, Alfonso JF, Aramberri J, et al. Performance and Safety of the Extended Depth of Focus Implantable Collamer ® Lens (EDOF ICL) in Phakic Subjects with Presbyopia. Clin Ophthalmol. 18: 2717-2730, 2020.より引用
遠方から中間、近方までなだらかな曲線で見やすくなっていることがわかる(点線が術後曲線)。