角膜内リングとは
角膜内リングは、角膜の中に透明なリングを1~2枚挿入して角膜の突出を抑える円錐角膜の治療です。
リングには様々な長さがあり、突出の形や程度によって種類や本数を使い分けます。
角膜内リングの歴史
角膜内リングはもともと軽度近視の屈折矯正を目的として1999年に米国の認可を受けた治療法です。
その後、この治療が角膜を平坦化することを利用し、円錐角膜の治療に応用できることが分かりました。
突出した角膜を平坦にすることでコンタクトレンズの装用が可能になったり、矯正視力を改善させたりする効果があります。
角膜内リングは2004年に適応が拡大され、現在では円錐角膜の治療をメインに使用されています。
治療の効果は?
角膜内リングには以下の効果があります。
- ①近視・乱視の改善
リングを挿入することで突出した角膜が平坦化し、円錐角膜によって生じた近視や乱視を減少させます。 - ②円錐角膜の進行抑制効果
角膜内でリングが骨組みの役割をすることで角膜強度が上がるため、円錐角膜の進行を抑える効果があります。 - ③ハードコンタクトレンズのフィッティングの改善
円錐角膜は、突出の程度によって角膜にハードコンタクトレンズがうまくのらなかったり、角膜の同じ場所が擦れて痛みを引き起こしてしまうことがあります。
角膜内リングで角膜を平坦化することにより、ハードコンタクトレンズを装用しやすくすることができます。
なにでできているの?
角膜内リングは『ポリメチルメタクリレート』という素材で出来ています。
ポリメチルメタクリレートはこの他にも白内障手術に用いられるレンズや屈折矯正に用いられるレンズにも使われています。
眼科ではよく知られた馴染みの深いもので、拒絶反応の危険がほとんどなく安全性の高い素材です。
当院での角膜内リング
当院ではフェムトセカンドレーザーを使用した角膜内リングの手術を行なっております。
角膜内リングのトンネルを作成する際、以前は専用の金属の器具を用いた術者の手による作成が主流でした。
現在ではレーシックの手術で知られるフェムトセカンドレーザーの使用が可能となり、コンピューター制御されたレーザーでトンネルを作成することが主流となっております。
これにより正確で安全な手術となりました。
角膜内リングのプロセス
角膜内リングの手順は以下の通りです。手術時間は15分程度です。
メリット・デメリット
最後に角膜内リングのメリット・デメリットについてです。
メリット
- ①合併症が起きにくい
角膜組織の切除をせず切開の範囲も小さいため合併症が起きにくい治療法です。 - ②万が一の場合はリングの取り外しができる
万一、術後に問題が生じた場合や結果が思わしくない場合には、リングを抜去し、術前に近い状態に戻すことが可能です。
デメリット
- ①視力の安定に時間がかかる
術後1ヵ月間は見え方が不安定です。
また、光をまぶしく感じる、何となくくっきり見えない(コントラストの低下)、夜間の運転時に光がにじんで見えたり、尾を引いて見えるなどの症状はかなりの割合で起こります。
通常徐々に減って気にならなくなりますが、場合によっては長期間持続することもあります。
最終的には角膜内リングの形状改善効果を視力が安定するには術後2~3ヵ月を要します。 - ②全ての方が完全に不正乱視を抑えられるわけではない
角膜内リングは円錐角膜の症状を改善できますが、円錐角膜の進行の程度により効果が異なり不正乱視の症状を完全に取り除くことはできません。
見えにくさはある程度残ります。
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