ICLについて②
ICLにも種類がある?
新しい手術と思われがちなICLですが、実はその歴史はレーシックよりも古く、1990年にはじめてインプラントされました。20年以上の実績があるICLですが、時代と共に更により良いレンズへと進化を遂げています。
1990年 | プロトタイプモデルICL(V1) |
1994年 | ポジショニングマーク追加(V2) |
1996年 | 光学部径の変化(V3) |
1998年 | vaultの変化、新しい光学部形状(V4) |
2011年 | ホールICLが欧州CEマークを取得(V4c:EVO) |
2016年 | 光学部径の更なる拡大(V5:EVO+) |
当院で使用しているレンズにV4c(EVO)、V5(EVO+)の2種類で、度数によって変わります。
他の屈折矯正手術と何が違うの?
眼鏡やコンタクトレンズが煩わしく感じ、ICLの手術に辿り着くと今度はメリット・デメリットが気になりますよね。
インターネット上では様々な方がICLのメリット・デメリットを掲載していますが、中にはICLではないレンズのことが混ざっていたり、古いタイプのホールのないレンズのことであったりと、正確な情報を知るのに苦労される方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は現時点(2020年8月)でのICLのメリット・デメリットを包み隠さずお話し致します。
ICLのメリット
- 万が一合わないと感じた場合に取り出せる(可逆性である)
- 幅広い度数に対応している
- 近視の戻りがない
- 長期的に安定した視力を得られる
- ドライアイにならない
- 世界で最も普及している有水晶体眼内レンズ
- 日本の厚生労働省が認可した唯一の有水晶体レンズ
- 後房型レンズのデメリットである白内障・緑内障のリスクの軽減(ホールICL)
- レンズの光学部(度数が入っている部分)の拡大によるハロー・グレアの更なる軽減(EVO<EVO+)
ICLのデメリット
- 費用が高額
- レンズ到着までの待機時間がある
- ハロー・グレア(最新のレンズでは軽減されている)
- 術後しばらく光の輪が見える
- 白内障手術に準じた術前後のケアが必要
- 感染症のリスク(1/6000件の確率)
- 角膜内皮細胞数減少のリスク
- 白内障・緑内障のリスク
ハローやグレアは角膜を削るレーシックよりもはるかに軽度で、最新の光学部径を大きくしたレンズEVO+により更に軽減されました。また術後に多くの方が見える光の輪はホールICLの穴の部分です。
これは目の中を循環している房水の流れを確保するもので、この穴があることで緑内障・白内障のリスクが大幅に軽減されています。
ハローやグレア、光の輪はいずれも術後1週間は気になる方もいますが、1か月から3か月も経つとその現象は軽減し、脳の順応も合わせるとほとんどの方が気にならなくなりますのでご安心ください。
ICLの感染症のリスクは約1/6000件と非常に低い確率ではありますが、内眼手術なのでレーシック以上に術前後の点眼薬や生活制限をしっかりと守っていただく必要があります。術前後の注意事項をしっかりと守って頂くことで感染症はリスクを減らすことができます。
角膜内皮細胞数が減少するリスクがICLのデメリットとしてあげられていますが、ホールICLではその心配はほとんどなくなりました。
以前のホールのないタイプのICLでは術前にレーザーで虹彩切開(ホールの代わりの小さい穴)を作っていましたので、その影響で角膜内皮細胞が減ってしまうケースがありました。
また角膜内皮細胞数は、加齢やコンタクトレンズの長期装用、様々な内眼手術などでも減少することが知られています。
このほか有水晶体眼内レンズ(フェイキックIOLとも呼ばれています)でも、前房型のアルチザンやアルチフレックスでは術後2-3%で内皮細胞が大幅に減るケースがあったので、現在はほとんど施行されていません。
緑内障や白内障は、以前のホールのないICLでは術後2-5%に起きました。
現在のホールICLになってからは術後に眼圧が上昇することはまずありませんし、白内障も起きにくくなっています。
当院では開院以来いまだ術後の緑内障や白内障は起きていませんが、海外の報告では稀にこれらの合併症が起きたことが報告されています。
ICLは手術ですから当然リスクや合併症は0ではありません。
ただし最新のレンズでは様々な合併症も大幅に軽減されています。
当院では無料説明会も開催しておりますので、詳しく知りたい方は是非一度ご来院ください。